花見、あるいは無題。

 予定より遅れての3月末、東日本大震災の被災地をめぐった。年にいちど、そうすることにしている。
 写真は撮らない。あとでなにか書こうとも考えない。毎年同じ場所に立って、ただ街とそこにいる人たちを眺める。大事なことを見逃してしまわないように。
 久慈市からいわき市まで、丸五日かけた。途中、いろいろと寄り道をした。総走行距離は1450キロになった。家を出るときまだ蕾だった桜が、帰ってみると5分咲きくらいになっていた。
 満開になったら、近くの公園で花見をすることにしていた。末の孫との約束だった。でも、そのあとの天気があまりよくなかった。そうこうしているうち花のほうがどんどん開いていって、雨があがっていくぶん気温も高くなったきょう、急遽行くことになった。
 弁当は、いくらかはばあさんも手伝ったが、おにぎりや卵焼きなど大半は七歳になる孫娘がつくった。それを公園で広げて、3人で食べた。
 曇りがちの天気で花を愛でるには少々物足りない感じがしたが、野外で食べる弁当は格別においしかった。なにより孫が喜んでくれたのがよかった。そう思いながら、戦火のなかにいる子どもたちのことを考えた。

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