３月下旬に震災被災地をめぐって帰ってきて以降、なんとなく頭の調子がよくない。急に集中力が落ちたような気がする。もともと散漫なたちではあるが、それがもっとひどくなった感じ。
おかげで、３月末にあがるはずの原稿が未だに終わっていない。この２ヵ月間、ただただぼんやりとしてすごした。
どういうわけか本ばかりやたら買いまくっていた。なのにたいして読んでいない。とくに長いのはだめ。それで、気が向いたときに短いのを拾い読みしている。
それをコロナのせいにはしたくない。でも、やはりコロナのせいだ、と思いたい。
とにかく、いま無性に旅へ出たい気持ち。温泉に行きたいとかうまいものを食べたいとか、そういうことではない。ひとけのない集落や寂れた街並みや横道や裏道や路地や坂道や石段や………忘れられたような漁村や閉山になった鉱山町や昔あやしげな飲食店があってそこそこ賑わいいまはすっかり廃れてしまった駅裏の薄暗い通りなどをほっつきまわってみたい。できればそんなところの、人も寄りつかないつぶれそうな飲み屋で酒を飲みたい。酒はどうせなら合成酒、ビールだったら製造年が３年以上前のもの。つまみはなくてもいいが、あるなら酸っぱくて少々かび臭い古漬けがいい。そんなところだ。まあいまは、というか、いまでなくても無理かもしれないけれど。
そんなわけで、仕方なく近場を車で彷徨った。１時間半ほど運転をしたら城跡らしいところに行き着いた。で、周辺を散歩した。そして帰りに蕎麦を食べた。
蕎麦はうまかった。が、なんの解決にもならなかった。あァあ………だった。
