ことしも静かに新しい年を迎えた。仙台にいたときは毎年元旦から親戚一同が集まり盛大な酒盛りで始まったが、益子に越してからは、娘たち家族を含めたごく身内だけのささやかな正月になった。これもいい。
2日のきょうは、飲むのにも飽いて、下の城内坂を流して歩いた。たいがいの店が開いていて、大勢の客で賑わっていた。駐車場を見ると、関東から甲信、南東北の車が多い。なかに仙台ナンバーの車を見つけて、思わず懐かしさがこみあげてくる。移住して1年8ヵ月。気持ちはまだ仙台の人間のようだ。
2ヵ月ちょっとすると、またあの日が来る。もうすぐ7年目か。そう振り返りつつ、震災の報道が日ごと減っていくのを感じて、悲しくつらく思っている。
一方で、東京オリンピックの報道は過熱していくぱかり。しかも、政府がやることも企業がやることも、なにもかもがオリンピックに結びつけられて、この国はオリンピックのために動いているのかとさえ思われて、いささか不愉快な気分に陥る。
いちどメデイアは、建設ラッシュに沸く東京と、工事が滞って重機も休止状態にある震災被災地の現場を、絵入りで並べて報道してみたらいい。そうすれば、被災地がいまどれだけ差別されているか、わかるはずだ。くわえて、被災地に行っては勇ましいことを叫んで恥じない、この国の権力者の鉄面皮ぶりも、はっきりするだろう。
国を挙げてそんな状況のなか、たいへんなのを承知で、自分なりに被災地、被災者のことを語っていく。たかだか声の届くところがかぎられても、その思いを必ず届けていく。そういう一年にしたい、と決意している。
庭先から見たきょうの日光連山
きょうの城内坂
訪れる人もない近所の神社
坂上のわが家