暗黒社会に戻すのか―世紀の悪法「秘密保護法案」

 知れば知るほど恐ろしくなる「特定秘密保護法案」。安倍内閣はその意図をごまかしながら、今国会での成立に躍起となっている。いつもは政権に弱腰の大手メディアも、取材・報道への規制につながりかねないと危機感を募らせ、ここにきて批判を強めている。
 法案は「特定秘密」の範囲として、第1号(防衛に関する事項)、第2号(外交に関する事項)、第3号(特定有害活動の防止に関する事項)、第4号(テロリズムの防止に関する事項)の四つをあげている。しかし、その「範囲」は曖昧で、「秘密」を指定する「行政機関の長」、首相や外相、防衛相、警察庁長官らの腹一つでいくらでも範囲を広げられるようになっている。しかも、「秘密」を漏らせば最高で懲役十年、情報を知ろうとした行為にも厳罰が科せられる。
 たとえば、「特定秘密」を知る立場にある人物と酒を飲みながらそれを聞き出しただけで、双方が罪に問われることになる。当該公務員は「秘密」を「漏洩」した罪で懲役十年、聞き出した側はそれを「教唆」した罪で懲役五年の刑に処せられる。恐ろしいのは、実際に「秘密」が「漏洩」しなくても、漏らすように「あおり仕向ける(扇動)」「そそのかし(教唆)」たという理由で処罰の対象にされることである。国民の知る権利は著しく侵害される。
 法案が成立すれば、広範囲な情報が「秘密」扱いにされ、政府による不都合な情報隠蔽に利用される可能性が高い。そして、それを知ろうとすれば、逮捕され、処罰されかねない。これでは、国民の目・耳・口をふさぐ、「治安維持法」下の暗黒社会へ逆戻りしてしまう。

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 法案の成立はなんとしても阻止しなければならない。そのために、あらゆるところで法案の危険性を訴え、反対の世論を広げてゆかねばなるまい。

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特定秘密保護法案」については「しんぶん赤旗」の解説がわかりやすい。詳しくは下記のリンクを参照していただきたい。

 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-27/2013102702_01_0.html