5歳になる孫娘が、ハガキ大の用紙に色鉛筆でわたしの似顔絵を描いてくれた。
所用で足尾町(現日光市)へ行く。用件を済ませ、少し時間があったので通洞駅周辺を歩いた。益子に移住してから3、4度来ているが、あらたまって街なかを歩くのはこれが初めて。歩いていて、かつて何度も訪ねた宮城県の鴬沢町細倉(現栗原市)を思い出した。
鉱山町として栄え、その後鉱山の撤退で寂れてしまったという点はどちらも同じ。最高時の人口が1万3000人あった鴬沢町は3000人になり、3万8000人を超えていた足尾町は3200人に減少した。
両町はまた、ともに鉱毒問題も抱えてきた。廃坑になった坑道を観光坑道にして少しでも誘客をふやそうとしている姿も似ている。
意外だったのは、街がひっそりとしているわりにうらぶれた感じがしないこと(写真からはそう見えないかもしれないが)。そのたたずまいにはどこか懐かしささえおぼえる。すれ違う町の人々もゆったりとしていて穏やかだ。それが好ましくて、次に来るときは夜みんなが集まる場所(もちろん飲み屋にきまっている)を訪ねてみようかと思っている。
久しぶりに美術館行き。コートールド美術館展を観た。
自分の審美眼などあまり信用していないが、今回はいろんな発見があってたのしかった。細部にこだわりながらうしろの鏡に映るバーメイドの胸像が大きくずれていたり、カウンターの上に並ぶボトルの、位置も本数も照応していなかったりするマネの「フォリー=ベルジェールのバー」には、同じ創作者として妙に納得させられた。
個人的には橋の上から街と鉄道を俯瞰したピサロの「ロードシップ・レーン駅」が気にいった。これと似た風景は自分の頭のなかにもある。