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「見捨てられたモノたち」を再生―中村学のオブジェ by Gallery noie (益子)

 栃木県益子町の北部、林のなかにぽつんと一軒のギャラリーがある。noie (ノイエ)という。「の家」を意味するらしい。「の家」の前にはいろんな言葉(あるいは記号でもいい)が入りそうだ。「おれ」でもいい、「X」でもいい。オーナーがそう考えたかどうか知らないが、勝手にそう思っている。

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 ギャラリーのオーナーは中村学さんという。自身もアーティストだ。以前、このギャラリーで「古川百合子、成井美沙子二人展」が開かれ、そのときはじめてお目にかかった。成井美沙子さんは成井恒雄さんの奥さん(お二人とも故人)で、わが娘の姑。古川百合子さんは、わたしが益子に移住してからお世話になっている診療所の奥さんで、成井恒雄さんの弟子だった。そんな縁だ。
 その中村さんの作品展が、この Gallery noie で開かれている。で、早速見にいった。

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 案内のポストカードには「見捨てられたモノたちに」とあった。なるほど、作品はうち捨てられた釘や針金、木片といった廃品ばかりでつくられている。その一つひとつはもはや用無しとして棄てられた物だが、中村さんはこれら廃品を組み合わせて、そこに新たな生命を吹き込んだ。それがなんとも懐かしく、またいとおしい。じっと見ていると、なにやら胸が熱くなってくる。
 そのうち、思いがけず、松本俊介の絵が浮かんだ。たとえば、「Y市の橋」とか「運河風景」とか「駅」といったような。その唐突さに自分でも驚いたが、あとになって考えてみて、両者にはどこか通底するところがあるようだと思った。

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 なかで、気に入ったのが上の作品だ。後日娘たちが見にいったおり、頼んでキープしておいてもらった。展示会が終われば、たぶん手元に届くはず。待ち遠しい。
 なお、展示会は11月30日まで開かれている。

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