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カトリック教徒たちの「下北半島スタディツアー」に同行した

 9月半ば、ルポルタージュ『原発ドリーム』が縁で、「下北半島スタディツアー」のガイドを務めることになった。主催したのは「カトリック正義と平和協議会」で、大型バス一台、50数人が参加した。東京都や神奈川県からの参加者が多く、遠く奈良県や兵庫県から来た人たちもいた。8割方が女性で、なかでもシスターの姿が目立った。残り2割の男性も、神父が大半だった。
 1日目は福島第一原発の被災地を見学し、夜は八戸市に移動して同市内のホテルで交流会。翌日は下北半島原発・核燃施設などを巡り、あわせて反対運動に取り組んでいる人たちとの交流もおこなった。
 3日目は午前中がワークショップで、最後はミサ。わたしは交流会から合流して、ミサが終わるまで一緒させてもらった。
 2日目の下北半島を案内してまわるのが、わたしの主たる仕事だった。コースは、主催者側の希望でもあったが、ほぼ『原発ドリーム』をなぞるような形になった。
 すでにルポを読み、ある程度状況を把握してきた人たちが少なくなかった。が、実際現地に足を踏み入れてみれば、受ける印象もまた違う。とくに、原発・核燃施設の誘致による村の変わりようには、誰もが驚かされたようだった。
 六カ所村で「花とハーブの里」を運営しながら再処理工場反対の活動をつづけている菊川慶子さんや、大間原発の敷地内に建つ「あさこはうす」を拠点に原発建設阻止の運動をつづけいてる小笠原厚子さんにも会った。交流できた時間は少なかったが、彼女らの粘り強い活動や慎ましい暮らしぶり、なによりその生き方、姿勢に、みんな深い感銘を受けた。

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      「花とハーブの里」で菊川慶子さんを囲んで

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       「あさこはうす」で小笠原厚子さんを囲んで

 印象的だったのは、ツアーに参加したカトリック教徒である彼らの、大震災の被災者、とりわけ福島の人々や原発・核燃施設のある地域に住む人々の、その気持ちに寄り添おうとしているひたむきな姿だった。ワークショップでもそうだったが、彼らはつねに、目の前にある困難にたいして自分になにができるのかを、自分自身の心に問いかけるふうだった。それぞれの置かれた状況、その生活のなかから、被災者支援であれ、脱原発の運動であれ、具体的かつ持続的な行動のあり方を考えている様子で、それが菊川さんや小笠原さんの姿勢とも重なって見えた。

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         八戸教会でのワークショップ風景

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        「スタディツアー」を締めくくるミサ

 わたしは信仰とは無縁に育ってきて、信仰者についても十分な理解を持っていなかった。しかし、そうであっても、彼らの、苦しむ人々と思いを共有しようとする真摯な姿には強く胸を打たれた。
 カトリック教徒たちのための「スタディツアー」ではあったが、いちばん学ばされたのは、どうやらわたしのほうだった。