書籍
3.11大震災の津波で被災し、いまも釜石市鵜住居の仮設住宅に暮らしている老人から手紙が届いた。手紙には先日訪ねたことへの礼に加えて、「窓あけて窓いっぱいの春」という山頭火の句が書き添えられてあった。 手紙はうれしかった。が、一方で、東側を山…
3.11大震災からまもなく4年になる。いまだに2590人の行方がわかっていない(2015.2.10 警察庁調べ)。遺体が見つかっても、どこの誰かがわからない人たちも少なくない。なのに、震災のことも犠牲者のことも、時とともに忘れ去られていく。 人々の記…
岩手県に在住しながら旺盛な創作活動をしている野里征彦の新しい作品集が、このほど本の泉社から出版された。著者は東日本大震災時の津波で大きな被害を受けた被災地に住んでおり、これまでも被災地、被災者の位置からいくつもの作品を紡いできた。新著には…
昨年の12月はじめから身辺にかかわることで多忙をきわめ、一年を振り返る余裕もなく、あっという間に年を越してしまった。それが、年が明けてもなおつづき、松の内を過ぎてようやく人心地ついた。気がつけば、本ブログを一ヵ月も投げ出していた。 おかげで…
『図書』『波』『本』『本の窓』『青春と読書』『ちくま』。すべて出版社のPR誌(書評誌)だ。毎月、発行と同時に本屋から届けられる。内容は出版社によって様々だが、連載も含めてそれぞれ短く、肩のこらない読み物が多い。 だからといって、けっして軽い…
ずっと、震災後の文学について考えてきた。そのために、この間、そうした小説やそれらを論じた評論を可能なかぎり読むよう心がけてきた。とはいえ、発表された作品の数からすればごく一部にすぎず、それでなにかがわかったという気はまだしていない。 自宅か…
野里征彦著『こつなぎ物語』がこの春完結し、第二部、第三部が同時出版された。その「刊行を祝う会」がこのほど盛岡市で開かれ、案内をもらってわたしも出席した。「会」は岩手こつなぎの会と民主主義文学会盛岡支部が主催したもので、岩手県内外から70人…
高見恒徳の詩集『異境の地で二度殺されたアリランの父よ』がこのほど出版された。長年温めてきて、さらに長い時間をかけてまとめ上げた渾身の長編詩である。その経緯、創作にかけた作者の思いについては、詩人・大岩弘氏の本書に寄せた序文がいい。著者の了…
岩手県北部、小繋山の入会権闘争に材を取った野里征彦の小説『こつなぎ物語』がこのほど第二部、第三部と同時出版され、完結した。 完結に当って著者からメッセージが届けられたのでここに紹介し、あわせて、この機会にぜひまとめてお読みいただけるようお願…
9月半ば、ルポルタージュ『原発ドリーム』が縁で、「下北半島スタディツアー」のガイドを務めることになった。主催したのは「カトリック正義と平和協議会」で、大型バス一台、50数人が参加した。東京都や神奈川県からの参加者が多く、遠く奈良県や兵庫県…
『ビッグイシュー日本版』がまもなく10周年を迎える。新聞の報道で知った。継続的な読者ではないので意識していなかったが、知らされてみればやはり感慨深いものがある。 わたしが初めて『ビッグイシュー』を手に取ったのは2004年の夏ごろだったと記憶…
野里征彦の新著『こつなぎ物語』がこのほど刊行された。岩手県二戸郡一戸町字小繋の小繋山の入会権闘争に材を取った小説で、今回出版さされたのはその第一部。本書では、事件の発端となった1915年(大正4年)の大火から、1932年(昭和7年)の盛岡…
釜石・東日本大震災を記録する会の編集になる『3・11その時、私は』の第2集が大震災二年目にあたるこの三月、発行された。わたしのところにも、取材で知り合った方から一冊送られてきた。記録集はA5版170ページで、聴き取りも含めて40人の証言が…
拙著『津波の町に生きる』がAmazonからkindle版として電子書籍化された。価格は1,200円で、単行本よりも20%、300円も安い。本はAmazonが販売しているKindle PaperwhiteやKindle Fire、Kindle Fire HDといった電子書籍リーダーで読めるが、これ以外…